ドメインアーキテクチャ
ドメインアーキテクチャとは、車両のE/Eアーキテクチャにおいて、パワートレイン・ボディ・ADASなどの機能領域(ドメイン)ごとに類似機能のECUを集約し、各ドメインを統括するドメインコントローラの下に階層化する設計方式である。
要点(Key Takeaways)
- 査読研究はドメイン型(DIA)を「類似機能のECUをドメインにまとめ、ドメインコントローラに接続する」構成と定義する。典型例はパワートレイン・インフォテインメント・ボディ・シャシ・ADASの5ドメイン
- 類似機能の集約により、従来構成より複雑な機能を高速に処理できる。一方、ECUの物理位置を考慮しないため配線が長くなりやすい(カメラ・LiDAR等の分散センサーで顕著)
- 中央ゲートウェイ型→ドメイン型(2020年頃〜)→ゾーン型という推移の中間段階にあたり、ゾーン型はハーネス総延長・重量をドメイン型比で削減する(同研究)
- ドメインの区切り方・数は実装や論者により幅がある
詳細解説
ドメインアーキテクチャ(DIA: domain-based IVN architecture)は、Sensors誌の査読研究(2024)の定義によれば「類似機能のECUをドメインにまとめる」構成であり、各ECUはドメインを統括するドメインコントローラに接続される。同研究は、現代の車両で広く採用される典型的なドメイン構成として、パワートレイン(PT)・インフォテインメント・ボディ・シャシ・ADASの5ドメインを挙げる。機能的に近いECUが同じコントローラの下に集まるため、従来の構成より複雑な機能を高速に処理できることが利点とされる。
一方で限界も同じ構造に由来する。査読研究(Sensors, 2024)は、ドメイン型がECUの物理位置を考慮せずにドメインコントローラへ接続するため、配線(ワイヤハーネス)が増大すると指摘する。機能で束ねる以上、車両の四隅に散らばるカメラ・LiDAR・レーダーのような分散センサーは、遠くのドメインコントローラまで個別に配線を引き回すことになる。E/E構成が中央ゲートウェイ型からドメイン型(2020年頃〜)を経てゾーンアーキテクチャ(物理位置で集約)へ推移しつつあるのはこのためで、同研究はゾーン型がハーネス総延長・重量をドメイン型比で削減することを解析している——「機能の論理」で束ねるか「配置の物理」で束ねるか、が両方式の分水嶺である。
なお、ドメインの区切り方や数(5ドメイン構成は典型例であって規格ではない)は実装・論者により幅があり、ゾーン型と同様、個別の文献・製品ではその文脈での定義を確認する必要がある。
SDVにおける位置づけ
ドメインアーキテクチャは、SDVへ向かう集中化の第一歩だった。機能ごとに無数のECUが分散していた状態から、ドメイン単位でソフトウェアがドメインコントローラに集約されたことで、「機能はソフトウェアとして統合・更新できる」という発想が現実になり、車載ソフトウェアプラットフォームの土台が形成された。
その先にあるのが、計算をさらにセントラルコンピュータへ集約し、I/Oを物理ゾーンで束ねるゾーン型への転換である。ドメイン型は通過点として「過去の方式」になりつつあるが、機能ドメインという論理的な区分自体はソフトウェア構造(ドメインごとのソフトウェア統合・責任分界)の中に生き続けており、物理アーキテクチャがゾーン型に移っても消えるわけではない。
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カテゴリ: E/Eアーキテクチャ
出典・一次情報
- "Analysis of E2E Delay and Wiring Harness in In-Vehicle Network with Zonal Architecture"(Sensors 24(10):3248, 2024・査読論文) (DIA=類似機能のECUをドメインに集約する構成の定義・5ドメイン例(PT/インフォテインメント/ボディ/シャシ/ADAS)・利点(複雑機能の高速処理)と限界(物理位置非考慮による配線増大)・ZIAとのハーネス比較(DOI:10.3390/s24103248)) — PMC収載原文で照合済・2026-06-06